クラウドサーバーとレンタルサーバーの違いは?種類や仕組み、メリットを徹底解説

クラウドサーバーとレンタルサーバーの違いについて解説しています。カスタマイズ性が高い反面、運用には知識が必要だったりと、他のサーバーと比較した際のメリットやデメリットについても解説しています。

近年、自社に物理的なサーバー機器を構築せずに、サーバーのサービスを利用する企業や個人が増えています。今はさまざまな方式のサービスが提供されているため、いったいどのサービスが自社にマッチしているのか、選定に悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、クラウドサーバーとレンタルサーバーの違い、仕組みやメリットについて解説します。

クラウドサーバーとは

クラウドサーバーとは、インターネットなどのネットワークを経由して利用できる、クラウド環境に設置されたサーバーのことです。クラウド提供会社が仮想的に構築したサーバーを、ユーザーが月額制などの料金を支払うことで利用します。インターネットに接続できる環境さえあれば、外出先からでもどこからでもサーバーへアクセス可能です。

クラウドサーバーは、部屋のサイズやトイレの数などをいつでも自由に変更や解約が可能な、自由度の高いマンションと例えられることがあります。

クラウドサーバー ひとりでは独占できず複数人で使用する 外部アクセス、内部アクセスでネットワークを分けて運用が可能 ロードバランサーバやバックアップ機能が標準準備 月額固定料金もしくは従量課金

建物そのものはひとつですが、自分の部屋にはお風呂やキッチンなども完備されていて、使用したい設備はいつでも自由にサイズ変更などができます。クラウドサーバーも、1台の物理サーバーを複数のユーザーが利用しますが、メモリやCPUはユーザーそれぞれに用意され、必要な容量へいつでも変更が可能です。

クラウドサーバーのメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 使用した分だけのコストに抑えられる
  • 必要な機能・リソースだけ拡張できる
  • スピーディに導入できる
  • 自由にカスタマイズできる
  • インターネット環境の影響を受けやすい
  • 障害対応を提供会社へ委ねることになる
  • 長期的に見るとコスト高になるケースも

レンタルサーバーとは

レンタルサーバーは、共用サーバーと専用サーバー・VPS・クラウドサーバーという種類があります。一般的には、レンタルサーバー=共用サーバーとして使われることが多いです。

この章では、クラウドサーバーを除いた3つの種類について説明していきます。

共用サーバー

コスト低めで運用可能 専門知識を必要としない 申し込みから利用開始までが短い 他の影響を受ける(負荷) 設定や利用可能ソフトに制限

共用サーバーとは、 1台の物理的なサーバーを他社と複数で共有するサービスです。シェアハウスや共同アパートをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。キッチンやお風呂を共有するように、メモリやCPUを複数のユーザーで共有します。レンタルサーバーと呼称する場合、共用サーバーと同じ意味で使用されることが多いです。

メリット デメリット
  • 低コストで運用できる
  • 専門的な知識が無くても利用できる
  • 導入までがスピーディ
  • 自由度が低いためカスタマイズ性に欠ける
  • 他のサイトやシステムによる影響を受けやすい
  • 他の共有ユーザーの影響を受けるケースもある

専用サーバー

専用サーバーとは、1台のサーバーをユーザーが独占して使用できるサーバーを指します。1つの企業がサーバーを占有して利用するため、使えるメモリやストレージの容量が大きく、カスタマイズ性も高いことが特徴です。

費用面、アクセス状況等の柔軟性 必要な機能のみ選べる ベースから作り込めるため、高度な専門知識が必要

専用サーバーは一戸建てに例えられることが多いです。一戸建てでは、キッチンやトイレなど、全ての設備を自分の好きなときに自由に使うことができます。専用サーバーも同様に、インターネット回線が周りのトラフィックに影響されにくく、安定した通信を確保しやすいです。

一方で、一戸建てでは間取りやレイアウトを自分で決めなければならないように、専用サーバーも作り込むためには専門的な知識が必要とされます。しかし、マネージドサーバーもしくはマネージドプランを使えば、運用や管理を専門スタッフに任せられるので、自身はサイト運営に専念することが可能です。

メリット デメリット
  • カスタマイズ性が高い
  • 他のWebサイトの影響を受けない
  • 高スペックのため負荷の高いサービスでも安定した運用が可能
  • 専用のため他のサービスに比べ料金が高額
  • 設定や管理を行う専門知識が必要
  • 申し込みから導入まで時間がかかる

VPS

VPSとは、Virtual Private Serverを略したもので、仮想的な専用サーバーのことを指します。共用サーバーと、専用サーバーを組み合わせたようなサービスの方式です。1台の物理サーバーを、複数のユーザーで共有するところは共用サーバーと同じです。1台のサーバー内でユーザーごとに領域を分け、それぞれが1つのサーバーのように仮想的に提供される点が専用サーバーと類似する点です。

1台のサーバーに自分の領域 安価で比較的自由度も高い 運用は自分で行う ハードウェアやOSレベルでのカスタマイズは不可

建物に例えると、マンションのようなイメージです。自分専用の部屋が区切られていて、トイレやキッチンも完備された個人の部屋があると同時に、玄関やエレベーターなどの共有スペースも存在します。

メリット デメリット
  • コストを安く抑えられる
  • ユーザーごとに領域が分かれているためリソースの影響を受けにくい
  • カスタマイズなどが比較的自由に行える
  • インターネット接続がないと利用できない
  • 物理サーバーほどパフォーマンスが高くない
  • 物理サーバーほどの自由度はない

クラウドサーバーとレンタルサーバーの違い

ここでは、クラウドサーバーとレンタルサーバー(共用サーバー)の違いについて説明します。
主な違いは以下の3つです。

  • 導入・運用費用
  • 運用作業の手間
  • カスタマイズ性

導入・運用費用

一般的に月額費用は、クラウドサーバーの方がコストが高いことが多いです。それぞれのコストを比較してみましょう。

初期費用 月額費用
クラウドサーバー 0円(費用なし) 500円~9,500円
(サービスやスペックによる)
レンタルサーバー
(共用サーバー)
0円~3,000円 493円~2,288円
(サービス提供会社による)

レンタルサーバーは導入費用が0円のサービスもありますが、一部費用が発生する提供会社もあります。そのため、導入初期費用は、クラウドサーバーの方がサービス全般としては費用がかかりません。

また、一般的にレンタルサーバーはクラウドサーバーに比べて、運用にかかる月額費用が低い傾向にあります。クラウドサーバーは使用した分だけ費用がかかるので、多くのリソースを必要とするケースでは運用コストが多くかかるのです。

運用作業の手間

運用作業の手間においては、クラウドサーバーの方が手間もかかります。導入の際のサーバー構築や、ソフトウェアのインストールや設定は自身で実施する必要があるからです。

レンタルサーバーは、サーバー導入時の構築はサービス提供側が実施してくれるため手間がかかりません。OSなども決められているので、自身でソフトウェアの管理をする手間も必要ないのです。

クラウドサーバーとレンタルサーバー(共用サーバー)について、運用作業においてかかる手間を以下の表でそれぞれ比較してみました。

運用作業の手間
導入時の構築 ソフトウェアの管理 保守管理
クラウドサーバー × ×
レンタルサーバー
(共用サーバー)

※◎:手間がかからない、〇:手間がほとんどかからない、△:手間がかかる、×:手間が相当かかる

レンタルサーバーは、サービス提供会社の責任において保守が行われるので、クラウドサーバーと比べてセキュリティパッチの適用や、ソフトウェアの更新などの手間を軽減できます。また、一般的に多く利用されているソフトウェアパッケージが、あらかじめレンタルサーバーにインストールされているため、クラウドサーバーに比べて導入時の手間もかかりません。

カスタマイズ性

カスタマイズ性においては、クラウドサーバーの方が優れています。

カスタマイズ性
クラウドサーバー 高い
レンタルサーバー
(共用サーバー)
低い・カスタマイズできない

クラウドサーバーはレンタルサーバーに比べてカスタマイズの自由が利くため、セキュリティのオプションや他システムとの連携が充実しています。一方、レンタルサーバーは、構築や運用をサービス提供会社が実施するため、ソフトウェアのインストールや、容量の変更などは自由にできません。

また、レンタルサーバーは、契約時に決定したプランのスペックから変更できないため、変更する際は契約の変更手続きが必要となります。その際サーバーを移行する必要があり、IPアドレスの変更や初期費用が発生するため、大きな手間がかかるのです。一方でクラウドサーバーはスペックの変更が可能なため、新たに別の契約手続きを行うことなく自由に設定変更ができます。

クラウドサーバーの導入がおすすめの企業

ここでは、クラウドサーバーの導入が向いている企業について解説します。導入をおすすめできる企業は、以下のような特徴が挙げられます。

  • 短期的にサーバーを活用したい企業
  • 自社でカスタマイズしたい企業
  • 契約途中でスペックの変更をしたい企業

クラウドサーバーは、初期費用がかからず利用した分だけ料金が請求されます。コストパフォーマンスが良いため、一時的に利用したい企業にはマッチしたサービスです。OSや、その他ソフトウェアのインストールや設定は自社で構築できるので、自由にカスタマイズできます。自社の使用用途に合わせた、最適なサーバー環境の構築を求める企業に向いています。

またクラウドサーバーは、スペックを自由に変更することが可能です。例えば、新規事業を立ち上げた際に顧客のアクセス数の増加に合わせて、サーバーのリソースを拡張できます。メモリやCPU、容量などを拡張できるため、レンタルサーバーに比べて自社の状況に合わせたフレキシブルな対応ができるのです。

レンタルサーバーの導入がおすすめの企業

レンタルサーバー(共用サーバー)の導入がおすすめの企業は、以下のような特徴を持つところになります。

  • 運用のコストをおさえたい企業
  • 構築、運用できる担当がいない企業
  • サーバーのスペック変更が必要ない企業

サーバーの構築や運用は、サービス提供会社が実施するため、それができるエンジニアをアサインする必要がありません。サーバーの運用担当が在籍していない企業には、最適なサービスとなります。

また、レンタルサーバーは、契約時に選択したスペックを変更できないため、途中でスペックの変更が発生しないような運用をしている企業にマッチしています。自由度は低くなりますが、その分コストを抑えられるため、サーバー運用におけるプライオリティによっては、より自社に合ったサービスとなるでしょう。

サーバーを選ぶときのポイント

ここまでクラウドサーバーとレンタルサーバーを比較してきました。両者は似た部分もあるため、どちらのサーバーを選定すればよいか迷ってしまうケースもあるでしょう。

ここでは、サーバーを選ぶ際の以下3つのポイントについて解説します。

  • 運用コストは自社に合っているか
  • スペック内容は自社の用途にマッチしているか
  • サポート体制が充実しているか

運用コストは自社に合っているか

サーバーは、一般的に長期的な運用を前提として契約する企業が多くあります。契約期間によって運用全体のコストが大きく変わってくるため、どのプランを契約するのか慎重に検討したうえで選定するようにしましょう。サービスによっては、無料のトライアルを実施している提供会社もあるため、テスト的に運用をしてみるのもひとつの手です。

スペック内容は自社の用途とマッチしているか

契約の途中でスペック変更の必要があるかどうかによっても、クラウドサーバーとレンタルサーバーのどちらを選択すべきかが分かれます。自社のホームページ運営など、サーバーのリソースを特に必要としない用途ではスペック変更が多く発生しないので、レンタルサーバーが適切でしょう。一方で試験的なアプリケーションの開発や、独自のソフトウェアを必要とする場合は、クラウドサーバーの方が用途としてマッチしています。

サポート体制が充実しているか

サポート体制についても、選定の際には重要視すべきポイントです。サービスによっては、メールでの問い合わせ対応のみであったり、24時間365日電話でのサポートがあったりとさまざまです。特にクラウドサーバーは自身で運用・保守を行う必要があるため、自社のリソース状況によっては手厚いサポートの用意されているサービスを選ぶとよいでしょう。

まとめ

クラウドサーバーとレンタルサーバー(共用サーバー)は、サーバー構築や運用における手間とカスタマイズ性、契約途中でのスペック変更の可否などの違いがあります。サーバーを構築する際は、コストやサポート体制の違いにも着目し、より自社の用途にマッチしたサービスを選定することが大切です。

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